咽頭や食道、胃腸の病気

咽頭の病気

上部内視鏡検査(胃カメラ)では、食道や胃だけでなく、咽頭の疾患を発見することもできます。

咽頭がん

どんな病気? 鼻の奥から食道までの食べ物や空気の通り道である咽頭にできるがんのことです。できる場所により、「上咽頭がん」「中咽頭がん」「下咽頭がん」の3種類に分かれます。このうち、「下咽頭がん」は上部内視鏡検査で発見することができます。初期症状はありませんが、進行してくるとのどのつかえ感、声がれ、頸部のしこりなどの症状が現れます。NBIとよばれる特殊な波長を用いて内視鏡観察をすると、初期の咽頭がんが見つけやすくなります。
原因・リスク 飲酒や喫煙が原因となっています。
飲酒をしたときにいわゆる「赤ら顔」になる人がかかりやすいと言われています。
治療法 初期のがんで発見されれば、放射線治療や病気の部分だけを切り取る局所切除などの治療が行われます。内視鏡での切除が可能な場合もあります。これらの方法であれば、身体にメスを入れることなく治療ができるので、身体への負担も非常に少なくすみ、早期に社会復帰が可能となります。

ただし、がんが進行している場合には、咽頭から声帯まで切り取る大きな外科手術が必要となり、声が失われる可能性が高くなります。この場合は、身体に大きな負担がかかることになります。

食道の病気

逆流性食道炎

どんな病気? 胃から胃酸が逆流して食道に炎症を起こす病気です。胸やけや、みぞおち・背中の痛み、すっぱいものがこみ上げてくる感じなどの食道症状のほか、のどのつかえ感や咳などの食道外症状が出ることもあります。
逆流性食道炎は、がんのように生命に支障をきたす病気ではありませんが、さまざまな不快な症状を引き起こすため、生活の質が低下すると言われています。
原因・リスク 脂っこい食べ物の摂りすぎやアルコールの飲み過ぎ・ストレスなどによって胃酸がふえてしまったり、胃と食道のつなぎ目である「下部食道括約筋(かぶしょくどうかつやくきん)」という筋肉がゆるんで、胃酸が逆流しやすくなることによって起こります。また、姿勢が悪い人は、胃が圧迫されて胃酸の逆流が起こりやすくなるリスクがあります。
治療法 内服薬による治療がメインとなります。それと同時に、脂っこい食事やお酒を控えるなど、食生活の改善も行なっていただきます。また、日ごろから姿勢を良くするよう心がけることも大切です。

食道がん

どんな病気? 食べ物の通り道である食道にできるがんのことを言います。食道の内面を覆っている粘膜の表面にある上皮から発生します。最初のうちは自覚症状がありませんが、食べ物を飲み込んだときにしみる感じがする、胸がチクチク痛むといった症状が見られることがあります。
咽頭がんと同様に、NBIとよばれる特殊な波長を用いて内視鏡観察をすると、初期の食道がんが見つけやすくなります。
原因・リスク 飲酒や喫煙が原因とされています。また、熱い飲み物や食べ物もリスクであると言われています。
日本人に多い食道中部に発生する食道がんは、咽頭がんと同様に、飲酒をしたときにいわゆる「赤ら顔」になる人がかかりやすいと言われています。「赤ら顔」になる人が習慣的に飲酒を続けていると、飲酒をしない人にくらべて、食道がんのリスクが60倍以上も高くなることが知られています。欧米人に多い食道下部に発生する食道がんは、逆流性食道炎との関連が考えられています。
治療法 初期のがんで発見されれば、内視鏡を入れて病変部を切除する「ESD(内視鏡的粘膜下層はく離術)」という方法がとられます。この方法であれば、身体にメスを入れることなく治療ができるので、身体への負担も少なくすみ、早期の社会復帰が可能となります。

ただし、がんが進行している場合には、外科手術のほか、放射線治療や抗がん剤治療を組み合わせて治療を行ないます。この場合は、入院期間も長くなり身体に大きな負担がかかることになります。

好酸球性食道炎

どんな病気? 食べ物などが原因でアレルギー反応が起こり、アレルギー反応を起こす「好酸球」と呼ばれる白血球が、食道の粘膜に集中して起きる慢性的な炎症です。日本での患者数の割合は10,000人に2人という珍しい病気で、国の難病に指定されています。胸やけ、のどのつかえ感が起こり、飲食がしにくくなるといった症状が起こります。
逆流性食道炎と症状が似ていますが、治療法が異なる場合があるので注意が必要です。内視鏡検査によって逆流性食道炎と区別がつきます。
原因・リスク 食物アレルギーが原因と言われていますが、アレルゲンを特定することが難しく、はっきりした原因はわかっていません。
治療法 逆流性食道炎の治療にも使われる内服薬(胃酸を少し減らす薬)が有効なこともありますが、ステロイドホルモンとよばれる薬が必要な場合があります。アレルゲンが特定できる場合には、アレルゲンを除去した食事療法を行なうのが有効なこともあります。

胃の病気

胃の病気がひどくなり開腹手術をすると、その後の食生活に大きな影響を及ぼします。
自覚症状がない、もしくは軽いうちに早期発見し、治療することが大切です。

胃潰瘍

どんな病気? 胃の粘膜に穴が掘れるような傷ができて、胃の壁深くまでえぐれるようになった状態を胃潰瘍(いかいよう)と呼びます。胃酸の消化作用によって、胃の粘膜が攻撃されるために起こります。
みぞおちのあたりに痛みをともなうことが多いですが、痛みをともなわないこともあります。重症な場合は大量に出血してしまうこともあります。その際には、吐血や黒色便などが認められます。
原因・リスク ピロリ菌感染によって起こるものと、NSAIDsと呼ばれる痛み止めの薬やアスピリンなど血液をサラサラにする薬などの副作用として起こるものがあります。最近は、NSAIDsやアスピリンによる胃潰瘍が増えています。NSAIDsやアスピリンによる胃潰瘍は、痛みを感じることは比較的少ないものの、出血の危険性が高いことが知られており、潰瘍からの出血リスクが約7倍高くなると言われています。高齢の方や心臓に重い持病を患っている方が、大量に出血すると重症になってしまうことがありますので、NSAIDsやアスピリンを継続して内服している場合は、定期的な内視鏡検査が必要です。
治療法 1~2か月ほど内服薬を飲みます。ピロリ菌が原因の場合は、内服薬による除菌治療を行うことによって、潰瘍の再発を防ぐことが可能となります。痛み止めの薬(NSAIDs)やアスピリンが原因の場合には、潰瘍が治ったあとも再発を防ぐために胃薬を継続することが必要になります。

胃がん

どんな病気? 胃にできるがんのことを言います。胃の内面を覆っている粘膜から発生します。粘膜に発生するため、内視鏡検査で初期のがんをみつけることができます。ただし、初期の胃がんは、粘膜のわずかな色の変化や小さい凹みなどの微小な所見で発見されますので、精密な内視鏡検査が必要です。
最初のうちは自覚症状がありませんが、進行すると胃痛、胃部の違和感、胸やけ、吐き気、食欲不振、体重減少などの症状が現れます。
原因・リスク ピロリ菌感染が主な原因の一つと考えられています。さらに、塩分の多い食事や喫煙、ストレスなども胃がんのリスクを高めるものと考えられています。
日本では胃がんは減少してきていますが、いまだに年間5万人の方が死亡する怖いがんの一つです。
治療法 初期のがんで発見されれば、内視鏡を入れて病変部のみを切除する「ESD(内視鏡的粘膜下層はく離術)」という方法がとられます。この方法であれば、身体にメスを入れることなく治療ができるので、入院期間も短く身体への負担も少なくすみます。ESDは、全国規模の臨床試験によって有効性と安全性が確認されており、広く普及した治療法です。
ただし、進行している状態で発見された場合は、胃を切除する外科手術のほか、抗がん剤治療を組み合わせて治療を行ないます。この場合は、入院期間も長くなり身体に大きな負担がかかることになります。

機能性ディスペプシア

どんな病気? 内視鏡検査では特に異常が見つからないものの、少し食べただけですぐに満腹になってしまう、食後の胃もたれ、みぞおちが焼けるよう感じ、食後のみぞおちの痛みなどの症状が続きます。さらに、吐き気、食欲低下などの症状が現れることもあります。生命にはかかわらないものの、QOL(生活の質)を大きく低下させる病気として知られています。「内視鏡検査でがんや潰瘍などの病気がない」ことを確認することが大切です。
原因・リスク 胃には「食べ物をためて十二指腸へ送り出す」という機能がありますが、その運動機能の異常や、胃酸過多(胃酸の出過ぎ)、胃の知覚過敏(小さな刺激に反応してしまう状態)、ストレス、ピロリ菌感染などが原因と考えられていますが、はっきりわかっていません。
治療法 脂っこいものや刺激の強いものの食べ過ぎを控えて、早食いや深夜に食事をする習慣を改善し、アルコールの取りすぎに注意して、睡眠不足やストレスに気をつける、などの生活改善が望まれます。さらに、消化管運動機能改善薬と呼ばれる内服薬が効果的です。

大腸の病気

大腸の病気も、手術をしなければならないほどにひどくなると、手術の際に身体への負担も大きくなります。早期発見・早期治療を行なうことが大切です。

大腸ポリープ

どんな病気? 盲腸から肛門までの便の通り道全体を大腸とよびます。大腸の粘膜にできるいぼ状のできもののことを言います。大腸ポリープは、ポリープを形成する細胞によって、腺腫性ポリープ、過形成性ポリープ、炎症性ポリープなどに分類され、治療が必要なポリープは、腺腫性ポリープと大きな過形成性ポリープとされています。以前は、腺腫性ポリープだけが大腸がんの原因となりうると考えられていましたが、最近の報告では、過形成性ポリープにもがん化リスクが高いタイプがあることが分かってきました。
原因・リスク 飲食物などに含まれる発がん性物質によって遺伝子に変異が生じ、これを繰り返すことでポリープとなると言われています。
治療法 内視鏡検査の際にポリープが発見されれば、同時に切除が可能です(内視鏡的大腸ポリープ切除術)。ただし、非常に大きなポリープの場合は後日改めて入院での内視鏡切除が必要となります。アメリカにおける大規模な臨床試験によって、大腸ポリープを切除することが大腸がんの予防につながることが確認されています。

大腸がん

どんな病気? 大腸がんは、大腸(盲腸・結腸・直腸・肛門)に発生するがんで、日本人ではS状結腸と直腸にがんができやすいといわれています。大腸粘膜から発生し、ほとんどの大腸がんは腺腫性ポリープががん化して発育したものですが、まれに正常な粘膜から直接発生するものがあります。
初期のがんでは症状はありませんが、がんが進行すると血便、下痢と便秘の繰り返し、残便感といった症状が現れることがあります。

大腸がんは、胃がんについで多くの人が罹るがんであり、日本の女性では、がんで亡くなる人の中で一番多いのが大腸がんです。
原因・リスク 喫煙や飲酒、加工肉(ハム、ベーコン、ソーセージ)の摂りすぎなどがリスクとされています。さらに、生活習慣では、肥満、運動不足などもリスク要因と考えられています。
治療法 初期のがんで発見されれば、内視鏡での切除によって根治可能です。ほとんどは日帰りでの切除が可能ですが、初期のがんでも非常に大きな場合は短期間の入院が必要となります。この方法であれば、身体にメスを入れることなく治療ができるので、身体への負担が少なくすみます。

ただし、がんが進行している場合には、外科手術のほか、抗がん剤治療を組み合わせて治療を行ないます。この場合は、入院期間も長くなり身体に大きな負担がかかることになります。

感染性腸炎

どんな病気? 細菌やウイルスなどの病原体が腸内に入り込んで引き起こす病気のことを言います。下痢、発熱、腹痛、嘔吐などの症状が見られます。また、若年層では、近年、アメーバと呼ばれる病原体が原因のアメーバ性大腸炎が増加していると考えられています。
原因・リスク 細菌やウイルス、寄生虫などが原因となっています。
治療法 ウイルス性では自然治癒で回復することが多いため、多くの場合は対症療法が中心です。細菌や寄生虫が原因の場合は抗生物質の内服が必要となります。下痢によって脱水症状が起きている場合には点滴を行います。

大腸憩室炎

どんな病気? 大腸憩室とは、大腸の壁の一部が外に飛び出して小さな部屋のようなものができている状態です。大腸の内圧の上昇により、大腸壁の筋肉層の脆弱な部分から粘膜が飛びだすことで憩室が発生すると考えられていますが、はっきりとはわかっていません。内視鏡検査で憩室の有無が判定できます。大腸に憩室があるだけでは治療の必要はありませんが、憩室の中に便がつまるなどして細菌が繁殖して炎症が起こった状態を憩室炎と呼びます。この際には、強い腹痛や発熱などの症状が現れます。
原因・リスク 憩室炎をおこすリスク要因は、はっきりとは分かっていませんが、過労、ストレス、便秘などが原因と考えられています。自分の大腸には憩室が存在するということを知っておくと、憩室炎が起きても早い対応が可能となります。
 また、憩室ががん化することはありませんが、大腸憩室がある方は、大腸ポリープの発生が統計学的に多いことが知られています。
治療法 軽症の場合は、消化の良い食事と抗生物質の服用で治すことができますが、重症になると入院による治療が必要となります。炎症が悪化すると、まれに憩室に穴が開いてしまうことがあり、その際には開腹手術が必要となります。

潰瘍性大腸炎

どんな病気? 大腸の粘膜にびらんや潰瘍ができて炎症が起きる病気のことを言います。病変部分が直腸付近から上部に広がり、症状が落ち着いている時期と悪化する時期を交互に繰り返すのがこの病気の特徴です。国の難病にも指定されています。症状としては、下痢や血便、発熱、体重減少などが現れます。
原因・リスク はっきりした原因はまだわかっていませんが、自己免疫機能の異常や食生活の変化などが原因ではないかと考えられています。
治療法 炎症をおさえる内服薬を服用します。重症化している場合や内服薬が効かない場合は手術となります。

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